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今月の主題 腸管子宮内膜症 序説
腸管子宮内膜症
著者: 斉藤裕輔1
所属機関: 1旭川医科大学第3内科
ページ範囲:P.1321 - P.1322
文献購入ページに移動大腸疾患における注腸X線検査と内視鏡検査の役割
大腸内視鏡検査は診断技術の進歩もさることながら,機器の飛躍的進歩により,表面型大腸腫瘍をはじめとして多くの大腸疾患の診断,特に粘膜微細病変の診断においてその有用性は確立しており,この点で明らかに注腸X線検査を凌駕している.一方,注腸X線検査は病変の全体像を把握し,他臓器との関係の客観的な描出が可能であるという外観撮影としての有用性から,腫瘍の診断においては内視鏡で全体像の観察が不十分となるような大きな病変,腸管の狭窄を伴うような病変の診断において必要となる.炎症性腸疾患においては病変の配列(病変が縦走配列か,横走配列かびまん性配列かなど)や発生位置〔腸間膜付着側かその対側か,結腸紐(taenia coli)との関係〕などから内視鏡検査単独では得られない情報を提供してくれる1).更に粘膜,粘膜下層,固有筋層,漿膜下層,漿膜,漿膜外と腸管壁における層ごとの診断が可能であることから,粘膜下以下に主座を有する病変の診断においては内視鏡診断能を明らかに凌駕していると思われる.今回,本誌で初めて主題として取り上げられる“腸管子宮内膜症”はその診断に注腸X線検査が大いに役立つ疾患の1つである.
大腸内視鏡検査は診断技術の進歩もさることながら,機器の飛躍的進歩により,表面型大腸腫瘍をはじめとして多くの大腸疾患の診断,特に粘膜微細病変の診断においてその有用性は確立しており,この点で明らかに注腸X線検査を凌駕している.一方,注腸X線検査は病変の全体像を把握し,他臓器との関係の客観的な描出が可能であるという外観撮影としての有用性から,腫瘍の診断においては内視鏡で全体像の観察が不十分となるような大きな病変,腸管の狭窄を伴うような病変の診断において必要となる.炎症性腸疾患においては病変の配列(病変が縦走配列か,横走配列かびまん性配列かなど)や発生位置〔腸間膜付着側かその対側か,結腸紐(taenia coli)との関係〕などから内視鏡検査単独では得られない情報を提供してくれる1).更に粘膜,粘膜下層,固有筋層,漿膜下層,漿膜,漿膜外と腸管壁における層ごとの診断が可能であることから,粘膜下以下に主座を有する病変の診断においては内視鏡診断能を明らかに凌駕していると思われる.今回,本誌で初めて主題として取り上げられる“腸管子宮内膜症”はその診断に注腸X線検査が大いに役立つ疾患の1つである.
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