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Coffee Break
忘れえぬ症例
著者: 多田正大1
所属機関: 1京都がん協会消化器科
ページ範囲:P.1556 - P.1556
文献購入ページに移動 現在,私は消化器科医として,特に大腸を中心に診療や学会活動をしているが,私にとって忘れられない症例は,何と言っても医者になって自分で最初に見つけた大腸癌症例である.昭和45年であるから,今から28年前の症例である.
昭和43年に医学部を卒業したものの,大学紛争で2年間ブラブラしていたが,これではいけないと発奮して増田正典教授の主宰する京都府立医大第3内科に入局した.しかし紛争後の混乱の残る教室では,消化器診断学はおろか内科学全般の基礎も教えてもらえないまま,いきなり関連病院へ出張勤務に出されたものだから面食らった.当時は大腸ファイバースコープはまだ開発されておらず,大腸を研究する先輩も少なく,独学で注腸X線検査の手技を勉強して,おそるおそる第一線の診療に従事していた.早期大腸癌を発見できようものなら症例報告できたような時代である.
昭和43年に医学部を卒業したものの,大学紛争で2年間ブラブラしていたが,これではいけないと発奮して増田正典教授の主宰する京都府立医大第3内科に入局した.しかし紛争後の混乱の残る教室では,消化器診断学はおろか内科学全般の基礎も教えてもらえないまま,いきなり関連病院へ出張勤務に出されたものだから面食らった.当時は大腸ファイバースコープはまだ開発されておらず,大腸を研究する先輩も少なく,独学で注腸X線検査の手技を勉強して,おそるおそる第一線の診療に従事していた.早期大腸癌を発見できようものなら症例報告できたような時代である.
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