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文献詳細

雑誌文献

胃と腸33巻12号

1998年11月発行

今月の主題 胃癌EMRの完全切除の判定基準を求めて

主題

胃癌EMRの一括切除による治癒切除の判定基準―水平切除断端と臨床経過との検討

著者: 後藤田卓志1 小野裕之1 近藤仁1 斉藤豊1 乾哲也1 粉川敦史1 小田一郎1 濱口哲弥1 山口肇1 斉藤大三1 笹子三津留2 佐野武2 片井均2 下田忠和3 吉田茂昭4

所属機関: 1国立がんセンター中央病院内科 2国立がんセンター中央病院外科 3国立がんセンター中央病院臨床検査部病理 4国立がんセンター東病院内科

ページ範囲:P.1567 - P.1572

文献概要

要旨 1987年10月から1998年7月までに,国立がんセンター中央病院の適応基準に基づいて464病変に対して内視鏡的粘膜切除術(EMR)が施行された.301病変(65%)が一括切除された.一括切除された病変の水平切除断端の評価を4分類して,臨床経過との関係から検討した.一括切除された301病変中m癌は258病変(86%)で,このうち治癒切除と判定された180病変(70%)では再発は認められなかったが,追加治療されず経過観察された切除断端(+)病変は29%,判定不能病変では15%に再発が認められた.一方,切除断端(±)病変では34病変中29病変が経過観察され,2病変(7%)に再発が認められた.すなわち,治癒切除症例では再発は認められなかったが,断端(±)症例では断端(+)や判定不能の他の非治癒切除群と比べ再発率は低いながらも再発が認められ,外科切除で遺残癌も確認された.以上から,一括切除された病変であっても水平切除断端の正確な評価を行い,断端(-)病変のみを治癒切除とすべきである.更に,断端(±)病変では病理組織学的評価において断端(-)か断端(+)かを明確にすることが,その後の治療方針を決定するうえで極めて重要であることが示唆された.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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