文献詳細
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書評「イラスト外科セミナー―手術のポイントと記録の書き方 第2版」 フリーアクセス
著者: 青木照明1
所属機関: 1東京慈恵会医科大学外科学講座第2
ページ範囲:P.1588 - P.1588
文献概要
さて,自然科学における研究手法の第2のステップの“記録”であるが,現在では精巧な写真やビデオによる記録,身体の内部の画像の記録法は大きな進歩を遂げている。このような時代にあって自分の手を使ってイラストレーションを書く記録の仕方にどのような意義があるか? 私も学生には画像診断の画像,摘出標本の写真などを一度自分でスケッチさせる.記録の重要性を認識させる第一歩である.人間が物体を観察して存在する様態を明らかにするとき,その形状,色,動きなどは一度観察者の脳のフィルターにかかりそして理解される.観察の第一歩である.すなわち“心ここにあらざれば見れども見えず聞けども聞こえず”であり,そこに表現される対象の様態は記録者の理解で変わってくる.漫然と撮られた写真一枚は場合によっては全く意味をなさない,それに対し観察者が描いたスケッチはその観察者が何を見,何を理解したかを的確に表現する.
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