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文献詳細

雑誌文献

胃と腸33巻12号

1998年11月発行

文献概要

今月の主題 胃癌EMRの完全切除の判定基準を求めて 主題

胃癌EMRの一括切除による根治的切除の判定基準―垂直方向への拡がりからみた検討

著者: 大屋正文1 八尾隆史1 上月俊夫1 恒吉正澄1

所属機関: 1九州大学医学部第2病理

ページ範囲:P.1589 - P.1597

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要旨 内視鏡的胃粘膜切除術(endoscopic mucosal resection;EMR)の材料で粘膜下浸潤を認めた23例のうち,8例ではEMR後に外科的切除術が,1例で追加EMRが施行され,14例では内視鏡的経過観察のみが行われた.外科的切除群のうち,3例には粘膜内(m)および粘膜下層(sm)に腫瘍の残存がみられたが,追加EMR施行例ではmのみに残存,5例では残存腫瘍はなかった.リンパ節転移は1例にのみ認めた.smに残存腫瘍を認めた3例には,非残存例と比較して,①長径が大きく(15mm以上),②脈管侵襲が明らかであり,③粘膜筋板から500μm以上のsm浸潤を認め,④低分化腺癌成分を含み,⑤切除断端からの距離が200μm以下で,⑥電気焼灼変性を示す例が多くみられた.肉眼的に隆起型を示す腫瘍には,深い浸潤を示す例でも腫瘍残存や再発を認めない例がみられた.上記の臨床病理学的所見を認めないsm癌は,EMRによって治癒的切除の可能性がある.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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