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文献詳細

雑誌文献

胃と腸33巻12号

1998年11月発行

文献概要

今月の主題 胃癌EMRの完全切除の判定基準を求めて 主題

胃癌EMRの分割切除による完全切除の判定基準―多分割例からみた検討

著者: 浜田勉1 近藤健司1 板垣雪絵1 泉嗣彦1 奥田圭二2 北村成大3 下屋正則4 東馨5

所属機関: 1社会保険中央総合病院内科 2社会保険中央総合病院放射線科 3社会保険中央総合病院病理 4自衛隊中央病院内科 5東京顕微鏡院内科

ページ範囲:P.1609 - P.1617

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要旨 分割切除の成績を分析し,分割切除標本で完全切除の判定が可能かどうかを中心に検討した.1986年1月から1997年12月までに分割切除した早期胃癌は74例74病変あり,癌の大きさは平均14.7±7mm,対象が大きくなればなるほど多く分割切除される傾向があり,適応拡大により積極的に実施されていた.標本完全回収率は,多分割すればするほど低く,4分割以上の例では50%以下であり,組織構築は困難と考えられた.遺残再発率は2分割切除では10.5%,3分割切除では31.2%,4分割切除では0%,5分割切除では8.3%,6分割切除以上では25%であり,4~5分割切除のほうが遺残再発率が低い傾向がみられた.マーキングの有無による再発率は,施行した場合は8.5%,しない場合は29.6%であり,正確な切除範囲を設定して切除することが重要と考えられた.遺残再発例は,肉眼型ではⅡcが多く,部位ではM領域にあるもので,マーキング未施行例が多かった.症例での標本の病理学的シェーマからは完全切除の判定は不能で,切除後一定期問経過観察し,生検により遺残再発の率を判定していくしか方法はないと考えられた.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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