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文献詳細

雑誌文献

胃と腸33巻12号

1998年11月発行

文献概要

今月の主題 胃癌EMRの完全切除の判定基準を求めて 主題

胃癌EMR後手術例の病理組織学的検討―根治判定基準拡大の可能性

著者: 二宮康郎1 柳澤昭夫1 石原省2 冨松久信13 山本智理子13 久保起与子13 加藤洋13

所属機関: 1(財)癌研究会癌研究所病理部 2(財)癌研究会癌研究所外科 3平塚胃腸病院内科

ページ範囲:P.1619 - P.1626

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要旨 EMR切除標本の病理組織学的検索でm断端疑陽性または陽性,あるいはsm浸潤ありと判定され,外科手術に至った22例を用い,EMRの根治判定基準の拡大可能性について検討した.その結果,以下の結論を得た.①分化型癌では2mm間隔で検索された標本で断端疑陽性のもの,および,m断端陽性でも陽性断端部が1か所で,病変の中心部がEMR材料内に採取されていることが確認できた場合は外科手術材料で癌遺残を認めず,このような症例は根治と判定できる可能性が示唆された.一方,3か所以上の断端で癌陽性で,病変部の中心と切除標本の中心が明らかにずれている場合は例外なく癌遺残がみられた.②分化型癌のsm浸潤例においてはsm1で断端陰性のものは根治と判定できる可能性が示唆された.sm2症例でも水平断端,垂直断端ともに陰性のものは原発巣に癌遺残を認めなかったが,リンパ節転移陽性のものもあり,更に臨床病理学的検討を要すると思われた.③末分化型癌は内視鏡的に癌の範囲および深達度を正確に診断することが困難であることから,完全切除が確認しえない限り,手術適応とすべきであると思われた.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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