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文献詳細

雑誌文献

胃と腸33巻12号

1998年11月発行

文献概要

今月の主題 胃癌EMRの完全切除の判定基準を求めて 主題

胃癌EMR切除標本からみた手術の適応

著者: 三隅厚信1 本明宜彦1 中野正吾1 稲田正之1 村上明利1 加古博史1 水本誠一1 吉仲一郎1 前田将臣1

所属機関: 1熊本大学医学部第2外科

ページ範囲:P.1627 - P.1639

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要旨 EMR(endoscopic mucosal resection)を含めて胃癌の根治的局所治療における適応条件はリンパ節転移のないことであり,加えてEMRはその完全切除が得られることによって成立する治療法である.局所切除による治療法の最大の利点は,他の内視鏡的治療(組織破壊法)と異なり,外科手術と同様に切除標本の組織学的検索が可能なことである.EMRにおける切除標本の組織学的検索の目的は,本治療法の根治性の評価であり,①適応条件(リンパ節転移のないこと,つまり粘膜癌)の確認と②局所の完全切除の判定(切除断端における2mm以上の非癌粘膜の介在)である.したがって,根治を目的としたEMRでは適応をいかに厳密に規定しても,深達度やリンパ節転移の診断などの精度が必ずしも正確ではないために,適応外の症例を避けることができない.このような理由から,根治的EMRは切除標本の組織学的検索による根治性の判定によって初めて成立するものである.このような観点から,根治を目的とした(根治的)EMRは胃癌治療の第1選択となるが,あくまでも胃癌治療法の1つの手段(方法)であり,本治療法で根治が得られないと判断された場合には,次の,より確実に根治が期待できる治療法を追加する必要がある.つまり,局所治療で根治が得られなかった場合には躊躇することなく外科的切除を選択すべきであろう.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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