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文献詳細

雑誌文献

胃と腸33巻13号

1998年12月発行

今月の主題 胃癌EMR後の遺残再発―診断と治療

主題

胃癌EMR後の遺残再発における外科的治療の適応と成績

著者: 浜田勉1 近藤健司1 板垣雪絵1 泉嗣彦1 奥田圭二2 北村成大3 下屋正則4 東馨5

所属機関: 1社会保険中央総合病院内科 2社会保険中央総合病院放射線科 3社会保険中央総合病院病理 4自衛隊中央病院内科 5東京顕微鏡院内科

ページ範囲:P.1727 - P.1734

文献概要

要旨 外科手術可能な症例ではEMR後の経過観察中に癌遺残が確認された場合,外科治療との接点をどこに置くのかは常に見据えておく必要があり,この観点から,EMR後の遺残再発例に対する外科的治療の適応や成績について検討した.対象は1986年1月から1998年3月までの260例285病変で平均観察期間は38.2か月であった.経過観察中,遺残再発を確認した例は35例35病変(12.3%,35/285)で,再EMRが可能だったものは23例あり,再EMRが不能な12例に対しては外科手術を行った.EMR後1年以内の再発累計が35例中27例(77.1%)に認められ,経過観察を1年間は厳重に行うことが重要と考えられた.外科治療となった要因として,遺残再発部は潰瘍瘢痕上にあるため,部位的にEMRが困難なもの7例,局注しても病変部の挙上が悪く技術的に不能なもの2例,癌遺残を告げると患者自身が手術を希望したもの1例,不十分なinformed consentの面が存在したと考えられるもの2例などがあった.外科手術標本の病理結果は,速やかに手術したものは全例深達度mでありly(-),v(-)かつリンパ節転移も認めなかった.しかし,医師側の外科手術への対応の遅れが原因でsm癌や進行癌に進行したものがあり,informed consentのあり方に問題が残った.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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