icon fsr

文献詳細

雑誌文献

胃と腸33巻13号

1998年12月発行

今月の主題 胃癌EMR後の遺残再発―診断と治療

主題症例

短期間にEMRを繰り返した胃上部Ⅱb型早期癌の1例

著者: 宮治正雄1 幕内博康1 中村健司1 生越喬二1 田島知郎1 岡本平次2

所属機関: 1東海大学医学部外科 2岡本平次クリニック

ページ範囲:P.1743 - P.1748

文献概要

要旨 われわれは,体上部小彎のⅡb病変に対し,短期間にEMRを繰り返し,癌の遺残に対する治療を行った症例を経験した.患者は59歳,男性.他医の胃内視鏡検診で体上部小彎の粘膜不整部(小発赤斑)を指摘され,生検で腺癌を認められ当院へ紹介されたが,当院での内視鏡下生検で癌の同定ができず,経過観察とした.その後,体上部小彎の小発赤のⅡb病変に対してEMR-L法で粘膜切除を行った.m癌であったが切除標本の口側断端(+)となり,5日後,追加EMR(EMRC)を施行した.m癌が認められ,再構築上,後壁側の癌遺残の可能性が考えられたため,4日後に再追加EMRを施行,更に,前回までのEMR潰瘍との間のbridgeにエタノール局注し,ヒータープローブで焼灼した.治療後3年5か月経過したが再発はみられていない.本症例から学びえた問題点は,①分化型Ⅱb病変の病巣範囲同定の困難性,②生検診断の困難性と限界,③胃上部など癌存在部位によるEMRの困難性で,これらにつき考察を加えた.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

雑誌購入ページに移動
icon up

本サービスは医療関係者に向けた情報提供を目的としております。
一般の方に対する情報提供を目的としたものではない事をご了承ください。
また,本サービスのご利用にあたっては,利用規約およびプライバシーポリシーへの同意が必要です。

※本サービスを使わずにご契約中の電子商品をご利用したい場合はこちら