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文献詳細

雑誌文献

胃と腸33巻13号

1998年12月発行

今月の主題 胃癌EMR後の遺残再発―診断と治療

主題症例

EMR後の遺残癌にEMRを4回施行した胃角部Ⅱa型癌の1例

著者: 髙木國夫1 岩切啓二1 松岡昭2 竹腰隆男3

所属機関: 1林外科病院 2松岡胃腸クリニック 3癌研究会附属病院内科

ページ範囲:P.1749 - P.1754

文献概要

要旨 患者は67歳,男性.胃角小彎の径2cmのⅡaに内視鏡的切除(EMR)が行われた.切除標本の組織所見はtub2,m,断端(+)で,EMR後の遺残癌に,2年間にわたり追加EMRを4回施行したが,切除が不十分で,EMRによる胃角部狭窄のため,遺残癌のEMRが不能になり,胃切除を施行した.切除標本の組織所見は胃角小彎にEMRのUl-Ⅲの瘢痕があって,その幽門側後壁に10×10mmのtub2が粘膜内にあって,一部smに浸潤していたが,リンパ節転移陰性であった.EMR後の遺残癌に対する治療をEMR深達度,占拠部位から検討した.EMR深達度がm,sm1では,幽門前庭部の遺残癌には追加EMRで根治可能であるが,胃角および胃体部では追加EMRが不的確な場合には,局所切除を考慮すべきであろう.本例もEMR後の遺残癌に早期に局所切除が行われるべきであったと考えられた.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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