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文献詳細

雑誌文献

胃と腸33巻3号

1998年02月発行

文献概要

特集 消化管悪性リンパ腫1998 序説

消化管悪性リンパ腫の包括的理解に向けて

著者: 小池盛雄1

所属機関: 1東京都立駒込病院病理科

ページ範囲:P.258 - P.259

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はじめに

 消化管悪性リンパ腫は節外性リンパ腫の中で最も頻度の高いもので,胃に限ってもWaldeyer輪に次ぐ節外性リンパ腫の好発部位である.ほとんどの消化管原発悪性リンパ腫は非ホジキンリンパ腫であり,大部分はB細胞性で大細胞型が多く,T細胞性やホジキン病はまれな疾患である.消化管では胃に最も頻度が高いが,地理病理学的に分布に偏りがあることや,わが国ではATLL(adult T-cell leukemia/lymphoma)による大腸病変がしばしばみられ,multiple lymphomatous polyposisとの鑑別などが問題になることが知られている.「胃と腸」でも過去に何回か消化管悪性リンパ腫をテーマとして取り上げてきているが,最も大きな最近の話題は,何と言ってもlsaacson PGによるmucosa-associated lymphoid tissue(MALT)とそこから発生するMALTリンパ腫の概念の提唱である.

 悪性リンパ腫の病理診断は,従来,細胞形態ならびに増殖様式により分類され,数種類の組織分類があった.近年,リンパ球系細胞の分化と形質発現の研究の進展につれて,リンパ腫の分類は変遷し,形態のみならず,免疫学,遺伝子学的見地から腫瘍細胞の形質発現を重視し,正常対応細胞の分化の系列に従って分類する新たな分類が導入された.その結果,通常の組織・細胞所見に加え,免疫組織化学,分子生物学的検索が必須となっている.消化管,なかんずく胃においては,Isaacson PGのMALTリンパ腫の概念の導入により,従来わが国でreactive lymphoreticular hyperplasia(RLH)と呼ばれ良性反応性病変として扱われてきた疾患の多くが,この範疇に入ることが明らかになってきている.最近の悪性リンパ腫分類Revised European-American Classification of Lymphoid Neoplasms(REAL分類)では,低悪性度MALTリンパ腫はextranodal marginal zone B-cell lymphomaとして明記されるに至っている.この病変はリンパ節ではmonocytoid B-celllymphomaに対応するもので,リンパ濾胞のmarginal zoneのB細胞に由来する腫瘍として位置づけられている.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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