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文献詳細

雑誌文献

胃と腸33巻3号

1998年02月発行

特集 消化管悪性リンパ腫1998

主題 Ⅰ.総論

消化管悪性リンパ腫の臓器別特性―病理学的見地から

著者: 渡辺英伸1 丸田和夫1 味岡洋一1 西倉健1 山下浩子1 鬼島宏2

所属機関: 1新潟大学医学部第1病理 2東海大学医学部病態診断系病理学

ページ範囲:P.299 - P.308

文献概要

要旨 悪性リンパ腫の新しい組織分類であるREAL分類を用いて,自験例と文献を参照しながら,消化管悪性リンパ腫の臓器別特性を下記のごとく検討した.①発生頻度:胃・大腸では全悪性腫瘍の1~3%,小腸では約30~40%,②各臓器での好発部位:胃の前庭部と移行帯部,回腸末梢部,腸T細胞リンパ腫は回腸から空腸に及ぶ多発性の潰瘍性病変,IPSIDでは上部空腸・十二指腸に,大腸では盲腸,上行結腸と直腸,③発生原因・誘因:ウイルスや細菌.特に,Helicobacter pyloriは胃MALTリンパ腫の発生・進展と関連している,④肉眼形態の相違:胃で表面型が多く,腸では隆起型とびまん浸潤型が多い.胃MALTリンパ腫は腸のそれに比べて多発する.腸でもT細胞リンパ腫は高率に多発する,⑤組織型別頻度:胃ではMALTリンパ腫が70%,次いで,びまん性大細胞Bリンパ腫が多く,T細胞リンパ腫はみられなかった.腸では,直腸にMALTリンパ腫が多く,回腸末梢部から盲腸部ではびまん性大細胞Bリンパ腫が主体であった.また,胃と異なり,T細胞リンパ腫が7%にみられた.更に,今回の検討で興味あることには,腸リンパ腫にT・B両細胞の形質を持ったびまん性大細胞Bリンパ腫が8%にみられることである.これら臓器別特性の差に応じた治療法の選択についても考察した.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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