特集 消化管悪性リンパ腫1998
主題 Ⅱ.診断
消化管悪性リンパ腫の類縁疾患
著者:
青崎真一郎1
西俣寛人2
西俣嘉人2
濱田富志夫1
馬場泰忠1
美園俊明3
楊宏慶4
小倉芳人4
愛甲孝4
蓮井和久5
新山徹美6
中村勇一6
野口昌宏6
牧猛6
堀雅英6
宇都宮與7
高崎能久7
所属機関:
1済生会川内病院内科
2社団法人鹿児島共済会南風病院
3鹿児島大学医学部第2内科
4鹿児島大学医学部第1外科
5鹿児島大学医学部第2病理
6鹿児島消化器研究会
7医療法人慈愛会今村病院分院
ページ範囲:P.415 - P.430
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要旨 消化管悪性リンパ腫の類縁疾患として,形質細胞腫,リンパ性白血病,成人T細胞白血病(ATL)の消化管浸潤病変について述べた.形質細胞腫はわが国の報告例における各消化管病変の肉眼所見の特徴について述べ,特に,胃形質細胞腫の早期例の代表的な肉眼形態である表層浸潤型について強調した.また,形質細胞腫の類縁疾患である原発性マクログロブリン血症の大腸病変の自験例を呈示した.リンパ性白血病は剖検例における消化管浸潤病変の特徴について述べ,わが国の報告例における消化管病変の画像所見の特徴についても述べた.また,胃に浸潤のみられた急性リンパ性白血病の自験例を呈示した.ATLは自験例18例の消化管浸潤病変の画像所見を検討し,消化管病変の肉眼型を分類し,症例を呈示し,その特徴について述べた.ATLの消化管浸潤は広範囲に及び,多彩な肉眼像がみられた.他の全身性悪性リンパ腫と比べ,びまん浸潤型病変が多くみられた.びまん浸潤型病変の診断には,二重造影による微細診断と内視鏡検査では色素撒布の併用が有用と考えられた.また,未治療で切除されたATLの小腸,大腸病変を画像所見および組織学的に検討し,画像所見と密接に関係する腫瘍細胞の浸潤・発育進展様式について考察した.