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特集 消化管悪性リンパ腫1998 ノート 基礎編
いわゆるRLHとMALTリンパ腫
著者: 谷澤徹12 中村恭一2
所属機関: 1東京医科歯科大学医学部保健衛生学科形態検査学 2東京医科歯科大学医学部保健衛生学科病理学講座
ページ範囲:P.469 - P.470
文献購入ページに移動RLHとは“reactive lymphoreticular hyperplasia”(中村ら1),1966)あるいは“reactive lymphoid hyperplasia”(Smith & Helwig2),1958)の略であり,ほぼ同義の語として“lymphoid hyperplasia”(Faris & Saltzstein3),1964)や“pseudolymphoma”Jacobs4),1963)がある.当時の悪性リンパ腫の亜分類は,リンパ肉腫(lymphosarcoma),細網肉腫(reticulum cell sarcoma)およびポジキン肉腫(Hodgkin's sarcoma)に分類されていたが,それらとの鑑別が困難な病変および良性病変を想定した概念であり,胃原発の悪性リンパ腫として治療された症例のうち予後良好な一群に対して提唱された疾患概念である.すなわち,いわゆるRLHの症例は,この概念が提唱される以前には悪性リンパ腫として認識され治療されていたということである.
RLHからMALTリンパ腫へ
これに対して当時Valdes-Dapenaら5)は,この予後良好な一群の病態と高悪性度のリンパ腫との間には組織像に重複する部分があることから,両者には漸次移行があり,良性反応性病変(いわゆるRLH)と腫瘍性病変(悪性リンパ腫)との間に明確な境界線を引けない部分があることを示唆している.
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