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文献詳細

雑誌文献

胃と腸33巻3号

1998年02月発行

文献概要

特集 消化管悪性リンパ腫1998 ノート 基礎編

胃MALTリンパ腫における所属リンパ節病変の意味するところ

著者: 堤寛1

所属機関: 1東海大学医学部病態診断系病理学部門

ページ範囲:P.476 - P.478

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はじめに

 低悪性度胃MALTリンパ腫の病変は,粘膜および粘膜下組織にとどまるのが通常であり,従来のreactive lymphoid hyperplasia(RLH)を包含する概念として広く捉えるべきであろう.そして当然ながら,早期冒癌と同じく,多くの場合,所属リンパ節に異常は認められない.腫瘤ないし周堤を伴う潰瘍を形成する進行型胃悪性リンパ腫において所属リンパ節が侵される頻度は60~70%である1).高度のリンパ節病変を伴うリンパ腫の場合は,腫瘍が消化管原発であるか否かの判断が求められることがある.一方,進行型胃悪性リンパ腫を組織学的にていねいに観察すると,病巣周辺部粘膜においてMALTリンパ腫と同様の低悪性度病変にしばしば遭遇する.こうした病変は,低悪性度リンパ腫の悪性転化によって形成された“高悪性度MALTリンパ腫”とみなすことが可能である2)

 逆に,所属リンパ節病変を伴う胃原発性悪性リンパ腫は,すなわち“高悪性度MALTリンパ腫”なのであろうか.答えはNoである.その理由を少し考えてみたい.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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