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文献詳細

雑誌文献

胃と腸33巻3号

1998年02月発行

文献概要

特集 消化管悪性リンパ腫1998 ノート 臨床編

胃悪性リンパ腫に対する欧米の治療方針

著者: 大津智子1

所属機関: 1国立がんセンター東病院化学療法科

ページ範囲:P.489 - P.491

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はじめに

 従来欧米およびわが国では,“胃悪性リンパ腫”と診断された場合の治療方針として,限局型で手術可能であれば胃摘出術が第一選択であり,所属リンパ節の転移または漿膜浸潤例では術後補助化学療法や特に欧米では放射線照射が施行されてきた(Fig. 1).その結果,限局型胃悪性リンパ腫の5年生存率は約80%以上1)と節性リンパ腫,胃癌に比べ良好であるが,一方で胃摘出術に伴うQOLの低下が問題となっていた.

 最近,胃MALTリンパ腫の概念およびその病因としてのHelicobacter pylori(H. pylori)感染症という考え方が確立し,限局型低悪性度MALTリンパ腫に対してはH. pyloriの除菌療法が第一選択となりつつある.除菌にはbismuth subgallate,amoxicillin,metronidazole,omeprazoleなどが有効であるとされ通常2~3種類の併用療法により,約60~80%以上の有効率が報告されている2)3).ただし効果判定基準が標準化されておらず,また長期のfollow-up例は少ないため,慎重に経過を観察する必要がある.

 本稿では,欧米で最近試みられている胃悪性リンパ腫を対象にした非手術的な治療法およびH. pylori除菌耐性例や再燃例も考慮した系統的な胃MALTリンパ腫に対する治療法を紹介する.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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