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文献詳細

雑誌文献

胃と腸33巻4号

1998年03月発行

文献概要

今月の主題 胃癌の診断にX線検査は不要か 主題

胃癌の診断にX線検査は不要か―必須とする立場から:表層拡大型胃癌を中心に

著者: 多田修治1 池田和隆1 関貴之1 藤本貴久1 江口洋之1 志垣信行2 神尾多喜浩3 須古博信1 飯田三雄4

所属機関: 1済生会熊本病院消化器科 2済生会熊本病院内科 3済生会熊本病院病理 4川崎医科大学内科(消化器Ⅱ)

ページ範囲:P.573 - P.582

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要旨 胃癌の術前診断におけるX線検査の意義を明確にするため,表層拡大型胃癌45例を対象として,X線・内視鏡診断と病理診断との対比検討を行った.術前の内視鏡診断とX線診断を,切除標本の組織所見再構築図と対比して,癌の拡がり,深達度,組織型診断の一致率を比較した.拡がり診断では前壁の範囲はX線よりも内視鏡検査のほうが一致率が高かったが,C領域小彎および後壁とM領域後壁は有意にX線検査が高かった(p<0.01).深達度診断の一致率はX線検査が有意に内視鏡検査よりも高かった(73%対47%,p<0.05).症例の多くは,広いm癌の一部で浸潤病巣を形成しており,浸潤範囲と深達度の判定には,X線検査による圧迫像と空気量を変化させた二重造影像が有用であった.組織型の診断では,分化型癌と未分化型癌が混在した場合,X線のほうが内視鏡検査よりも一致率が高かった(75%対33%,p<0.05).胃癌の術前診断において,範囲の広い癌の場合,内視鏡検査のみでは癌の正確な質的診断を行うことは極めて困難であり,X線検査によって不足した情報を補完することが必要であると考えられた.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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