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文献詳細

雑誌文献

胃と腸33巻4号

1998年03月発行

文献概要

今月の主題 胃癌の診断にX線検査は不要か 主題

胃癌の診断にX線検査は不要か―私はこう考える

著者: 多賀須幸男1

所属機関: 1多賀須消化器科内科クリニック

ページ範囲:P.652 - P.652

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1.胃X線検査についての苦言

 私はここ約20年間自分で胃のX線検査をしたことはないし,4年前に開業した診療所はX線装置を備えていない.ではX線検査に全く無縁であるかと言うと,要精検で紹介され内視鏡検査する機会が多いので,胃のX線写真を見ない日はない.胃集検の全国集計だけでも毎年600万余人の日本人が胃のX線検査を受けているのであるから,胃癌の診断にX線検査が不要とは,とても考えられない.まず現在の胃X線検査について,苦言を述べさせていただきたい.

 既に40年間以上にわたって,胃X線検査はルーチン検査(拾い上げ検査)と精密検査に分けられている.この姿勢がX線検査を悪くしているのではなかろうか.精密検査があると思うから,拾い上げ検査の写真の読みがいい加減になっていると思うのである.はっきり描出されている病変についてすら,“壁不整,要精検”のチェックで内視鏡検査に回す安易な態度が真剣な読影を妨げて,ペプシノーゲンによるスクーニングと同列などと言われることになってきたと思う.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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