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文献詳細

雑誌文献

胃と腸33巻4号

1998年03月発行

文献概要

今月の主題 胃癌の診断にX線検査は不要か 主題

胃癌の診断にX線検査は不要か―私はこう考える

著者: 細川治1

所属機関: 1福井県立病院外科

ページ範囲:P.660 - P.660

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 わずか10年前までは胃癌の治療法としては開腹切除術以外の方法は考えられなかった.手術に臨んで,外科医は内科側からの大まかな癌巣の占居部位の情報を得て術式の決定を行った.すなわち胃の近位に癌巣がある場合は全摘術,近位に癌巣が及んでいないならば亜全摘術,リンパ節は画一的に第2群まで郭清として何ら痛痒を感じなかったのである.選択肢が少ないゆえに,治療に診断学が入り込む隙間はごくわずかであった.

 他方,われわれの施設では1960年代から早期癌症例には胃の切除範囲を狭くして,リンパ節郭清を第1群以下にとどめた縮小手術を積極的に適応してきた.外科を標榜しているものの,その活動範囲を手術のみに絞り込むことなく,検診事業や形態診断などの分野を含む胃癌対策全般に拡げ,地域の胃癌の掘り起こしを行う目的1)のために,無症状の患者が多い早期癌に対しては侵襲の小さい術式を1つの選択肢として取り入れてきたのである.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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