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今月の主題 胃癌の診断にX線検査は不要か 主題
胃癌の診断にX線検査は不要か―私はこう考える
著者: 細井董三1
所属機関: 1多摩がん検診センター消化器科
ページ範囲:P.661 - P.661
文献購入ページに移動 近年の内視鏡診断・治療技術の進歩には目覚ましいものがあり,胃癌に対しては診断面のみならず治療の分野でも大きく躍進していることは否めない事実である.だからと言って胃癌の診断にX線検査はもはや不要と考えるのはX線診断の評価を誤った,あまりにも偏った見方と言わざるを得ない.私は胃X線検査は相変わらず胃癌の診断に不可欠と考えている.
X線検査を不要とする主な論拠としてルーチン検査での早期癌の拾い上げ能が内視鏡に比して著しく劣っている点が挙げられている.しかし体型的な条件や高度な胃変形のため十分な二重造影像や圧迫像が撮影できない場合を除けば,両者の診断能に大差があるとは思えない.X線の拾い上げ診断能が内視鏡に劣るとされるのは噴門部から胃体中部までの前壁に存在する20mm以下の粘膜集中を伴わないm癌,胃体部大彎の皺襞の中に隠れた皺襞集中のないⅡc型病変,前庭部の10mm以下の小病変,および凹凸の少ない類似Ⅱb型病変などである.しかし従来,X線診断の最大の弱点とされていた胃体部の前壁側は撮影装置の改良によって後壁と同様に二重造影法が可能となり,解決済みである。それでも診断能が向上しないとすれば撮影技術のトレーニングの仕方に問題があるのではなかろうか.逆に胃体部後壁を中心とする領域のすべての病変の拾い上げはX線のほうが内視鏡より優れているのである.現在,胃集団検診受診者は年間約700万人に達するが,内視鏡の処理能力ではこれに対処できるのか大いに疑問であり,やはり間接X線検査の助けを借りざるを得ないであろう.
X線検査を不要とする主な論拠としてルーチン検査での早期癌の拾い上げ能が内視鏡に比して著しく劣っている点が挙げられている.しかし体型的な条件や高度な胃変形のため十分な二重造影像や圧迫像が撮影できない場合を除けば,両者の診断能に大差があるとは思えない.X線の拾い上げ診断能が内視鏡に劣るとされるのは噴門部から胃体中部までの前壁に存在する20mm以下の粘膜集中を伴わないm癌,胃体部大彎の皺襞の中に隠れた皺襞集中のないⅡc型病変,前庭部の10mm以下の小病変,および凹凸の少ない類似Ⅱb型病変などである.しかし従来,X線診断の最大の弱点とされていた胃体部の前壁側は撮影装置の改良によって後壁と同様に二重造影法が可能となり,解決済みである。それでも診断能が向上しないとすれば撮影技術のトレーニングの仕方に問題があるのではなかろうか.逆に胃体部後壁を中心とする領域のすべての病変の拾い上げはX線のほうが内視鏡より優れているのである.現在,胃集団検診受診者は年間約700万人に達するが,内視鏡の処理能力ではこれに対処できるのか大いに疑問であり,やはり間接X線検査の助けを借りざるを得ないであろう.
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