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文献詳細

雑誌文献

胃と腸33巻5号

1998年04月発行

文献概要

今月の主題 大腸疾患の診断に注腸X線検査は必要か 序説

注腸X線検査不要論を衝く

著者: 多田正大1

所属機関: 1京都がん協会消化器科

ページ範囲:P.693 - P.694

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 消化管病変に対する画像診断として,X線検査と内視鏡検査は双壁をなす.しかし上部消化管の画像診断と比較して,大腸では被検者の苦痛は少なくない.被検者は前処置の段階で後込みするし,検査中には大量の空気を腸管内に注入される結果,検査に難渋したご婦人は“お産より苦しかった”と訴える.運悪く腸管穿孔を起こされるならたまったものではない.このように苦しい大腸検査であるからこそ,できれば1回の検査で済ませたいのは被検者だけでなく医師も同感である.

 昨秋の第39回日本消化器病学会秋季大会(八尾恒良会長)において,「消化管疾患の診断のすすめ方」なるパネルディスカッションが企画され,消化器科診療におけるX線検査の位置づけを中心に討論がなされた.大腸の分野は渕上忠彦(松山赤十字病院消化器科)と筆者が司会を担当して,X線と内視鏡のエキスパートの10名のパネリストとともに,大腸疾患の診療における両検査法のあり方について討論した.各パネリストの各々の検査に対する思い込み,信念は揺るぎないものであるし,施設における事情も異なっており,いちがいに各々の検査の優劣を決めることはできなかった.それでも両検査の精度,見逃し率を基にパネリストの本音が吐露されおもしろかった.学会でこのようなパネルが企画されたのも,また本誌今号で“大腸疾患の診断に注腸X線検査は必要か”なる主題が計画されたのも,内視鏡がX線を凌駕する勢いにある今日,X線検査の生き残る道を探り,再び活性化を図ることに目的がある.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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