今月の主題 大腸疾患の診断に注腸X線検査は必要か
主題
大腸癌の診断に注腸X線検査は必要か―原則必要とする立場から:注腸X線検査による表面陥凹型早期大腸癌の診断について(デジタル画像の有用性も含めて)
著者:
今井裕1
杉野吉則1
大須賀香絵1
熊倉賢二1
寺本龍生2
北島政樹2
向井万起男3
天羽洋4
藤沢裕久5
所属機関:
1慶應義塾大学医学部放射線科
2慶應義塾大学医学部外科
3慶應義塾大学医学部中検病理
4静岡赤十字病院放射線科
5大和市立病院放射線科
ページ範囲:P.695 - P.704
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要旨 大腸の表面陥凹型早期癌20病変(Ⅱc型8病変およびⅡc+Ⅱa型12病変)を対象として,そのX線像,検査中の病変発見のきっかけとなった透視所見について検討した.病変の正面像が撮影できたのは20例中18例で,その所見は透亮像を伴う陰影斑12例,透亮像とひだの集中を伴う陰影斑3例,ひだの集中を伴う陰影斑2例,陰影斑のみが1例であった.また,側面像が撮影できたのは20例中9例で,辺縁の不整4例,辺縁の不整を伴う二重輪郭3例,辺縁の不整を伴う半月ひだの肥厚1例,辺縁の二重輪郭を伴う半月ひだの肥厚1例であった.また,検査中に発見されたのは20例中14例で,透視で発見のきっかけとなった所見は透亮像10例,半月ひだの肥厚2例,粘膜ひだの集中1例および辺縁の二重輪郭1例であった.注腸X線検査では,陥凹型病変でも透視で発見されるきっかけとなる所見の71%は透亮像であった.また,デジタル画像装置を併用することにより検査中における病変の発見率は,併用しないときよりも約12%の成績の向上がみられた.