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文献詳細

雑誌文献

胃と腸33巻5号

1998年04月発行

今月の主題 大腸疾患の診断に注腸X線検査は必要か

主題

大腸の炎症性疾患の診断に注腸X線検査は必要か―X線を重視する立場から

著者: 櫻井俊弘1 八尾恒良1 古賀有希1 平井郁仁1 中道美加1 古川尚志1 松井敏幸1 佐藤茂1

所属機関: 1福岡大学筑紫病院消化器科

ページ範囲:P.745 - P.754

文献概要

要旨 炎症性腸疾患の診断にX線検査が有用であるかについて概述した.活動期Crohn病に対する栄養療法による短期緩解導入の予測因子として,患者背景などの諸因子にX線所見を加え多変量解析を行った.経腸栄養療法の検討では,栄養療法治療歴,CDAI,顕血便の3要因に加え,大腸隆起スコアも有意かつ独立の要因であった.完全静脈栄養療法では,赤沈値,血小板数と病変範囲の3要因が選択された.いずれの検討においてもX線所見は非緩解要因に挙がっており,X線検査はCrohn病の診療に有用であった.活動期潰瘍性大腸炎における無前処置注腸検査の有用性を検討した.X線検査による全大腸の評価は病勢と有意の相関を示し,活動期潰瘍性大腸炎の病勢把握にX線検査は有用であった.炎症性腸疾患の診断はX線検査と内視鏡検査および病理学的な所見を組み合わせて行うことが原則であり,X線か内視鏡かのどちらか単独で診断することは考えられない.ただし,X線検査は病変の立体的認識に寄与し,病変の拡がりや管腔の伸展性の描出能に優れていることから,炎症性大腸疾患の診療には必須の検査法であると考えられる.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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