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文献詳細

雑誌文献

胃と腸33巻6号

1998年05月発行

文献概要

今月の主題 鋸歯状腺腫(serrated adenoma)とその周辺 主題

serrated adenomaの組織診断

著者: 加藤洋1 柳澤昭夫1 久保起与子1 小泉浩一2

所属機関: 1(財)癌研究会癌研究所病理部 2癌研究会附属病院内科 3Karolinska研究所(スウェーデン)病理

ページ範囲:P.825 - P.830

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要旨 鋸歯状腺腫(serrated adenoma,以下SA)に対する,われわれ(癌研)の組織診断基準を示した.“鋸歯状(serrated)”という語は,原典で強調されている腺腔(lumina)に対してでなく,上皮(epithelium)に対して用いたほうがよい.化生性ポリープ(MP)あるいは過形成ポリープ(HP)との最大の相違点は,増殖細胞の分布がMP/HPでは病変の深部(下1/2)に限られているのに対し,SAでは不連続にしても病変の深部から表層までにわたっていることである.同一標本を用いてのスウェーデンのDr. Rubioとの検討では,Rubioは,われわれ(癌研)がMP/HPとするものをSAとする傾向があった.すなわち,MP/HPとの鑑別において,SAのminimal criteriaをどこに置くかの問題が残った.SAの純型は少なく,他の型の腺腫成分を含むものが相当存在することがわかった.SAは従来の腺腫の中に整理されるものではなく,1つの独立した型として認められるべきと考える.しかし,われわれがかつてvillotubular adenomaあるいはvillomicroglandular adenomaと呼び,絨毛腺腫の一型として扱っていたものが,SAに含まれる可能性のあることがわかった.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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