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文献詳細

雑誌文献

胃と腸33巻6号

1998年05月発行

今月の主題 鋸歯状腺腫(serrated adenoma)とその周辺

主題

serrated adenomaの臨床病理学的検索

著者: 岩下明徳1 大重要人1 山田豊1 尾石樹泰1 溝口幹朗1 田中仁1 立川大介1 高橋宏1

所属機関: 1福岡大学筑紫病院病理部

ページ範囲:P.855 - P.865

文献概要

要旨 鋸歯状腺腫(serrated adenoma;SA)411例,452病変について,臨床病理学的立場から検討した.その頻度は全腺腫の1.9%で,近年増加傾向にあった.本腫瘍は組織学的に,①通常型腺腫(以下TA)成分を伴わないA群333病変,と②それを伴うB群119病変に分けられた.A群に腫瘍径小,有茎性,軽度異型のものが多く認められた.過形成性ポリープ(以下HP)成分の共存率は,全体で45.4%(A群55%,B群18.2%)と高く,特にA群で高頻度であった.一方,癌化率は全体で1.5%(A群1.2%,B群2.5%)と低く,特にA群でそうであった.TAにはときに出現し,HPにはみられないPaneth細胞は全病変に認められなかった.以上の結果から,本腫瘍,特にA群の生物学的悪性度はTAのそれより低く,その発生母地としてHPの可能性が高いと結論した.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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