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文献詳細

雑誌文献

胃と腸33巻6号

1998年05月発行

文献概要

今月の主題 鋸歯状腺腫(serrated adenoma)とその周辺 主題

大腸鋸歯状腺腫の内視鏡診断

著者: 松本主之1 飯田三雄1 水野充1 末兼浩史1 黒木文敏1 武田昌治1 星加和徳1 清水道生2

所属機関: 1川崎医科大学消化器内科Ⅱ 2川崎医科大学病理

ページ範囲:P.879 - P.890

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要旨 過去3年間に経験した大腸鋸歯状腺腫(serrated adenoma;SA)の内視鏡所見と組織所見を検討し以下の結果を得た.(1)全53病変のうち36病変(68%)が直腸・S状結腸に存在し,有茎性ないし亜有茎性の隆起性病変が34病変(64%)を占めていた.(2)53病変はその表面構造から過形成様(H群)17病変,脳回様(C群)18病変,両者を有する混合型(M群)18病変に分類可能であった.(3)内視鏡的に切除された30病変を腺腫の診断基準に準じて分類すると,腺管状10病変(33%),腺管・絨毛状14病変(47%),絨毛状6病変(20%)で,高度異型を4病変に認めた.(4)同30病変の表面構造と組織像の対比では,H群(11病変)では腺管状が91%であったのに対し,C群(8病変)とM群(11病変)では全病変に絨毛成分が認められ,C群の1病変とM群の3病変が高度異型を呈した.以上から,SAは遠位大腸に隆起性病変として好発し,表面構造が特徴的であること,および癌ないし絨毛腺腫への進展が示唆されたが,臨床的には通常腺腫と同等に取り扱って問題ないと考えられた.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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