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文献詳細

雑誌文献

胃と腸33巻7号

1998年06月発行

今月の主題 食道癌

主題

m3・sm1食道癌の病理

著者: 大倉康男1 中島寛隆12 八巻悟郎3

所属機関: 1東京都がん検診センター検査科 2東京医科歯科大学医学部病理 3東京都がん検診センター消化器科

ページ範囲:P.975 - P.984

文献概要

要旨 m3癌18例,sm1癌7例の計25例について病理組織学的検索を行い,深達度診断ならびにEMRの適応について検討した.肉眼所見はm3-3より深い病変では小結節,癌巣の厚みが認められ,sm1癌ではびらん・発赤による広範囲の粘膜表面の粗ぞうさが目立った.sm1癌はm3の領域が広く深達度が比較的推定しやすいものであったが,m3癌は肉眼所見に乏しく,浸潤度の浅いものにはm2癌との判別の難しい病変が少なくなかった.組織学的には,m3癌は深達度m1およびm2の浅い部分が多くを占めて最深部の領域は狭く,最深部が粘膜筋板に深く浸潤するものも少なく,病変内で混在する癌巣の厚みの違いもわずかなものであった.m3・sm1癌はいずれも最深部分の占める割合は少なく,それらの深達度診断は最深部の深達度に基づいた肉眼像のとらえ方ではなく,深達度亜分類別の肉眼所見とその拡がりを十分に把握したうえで行わなければならないと言えた.更に,20mm以下の比較的小さな癌あるいは50mm以上の表層拡大型癌は診断が難しく,腫瘍径を考慮した診断学も必要である.一方,EMRの適応はリンパ管侵襲の有無からはm2までを絶対適応としているが,リンパ節転移の可能性からm3までを相対適応とした.しかし,症例数が少なく,今後の検討が必要と思われた.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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