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文献詳細

雑誌文献

胃と腸33巻7号

1998年06月発行

学会印象記

第6回日本消化器関連学会週間(DDW-Japan 1998)―大腸に関するテーマを中心に

著者: 安藤正夫1

所属機関: 1JR仙台病院消化器内視鏡センター

ページ範囲:P.1042 - P.1042

文献概要

 学会第3日と第4日の下部消化管腫瘍の分野を中心に参加した.最近,会場であるパシフィコ横浜にもようやく慣れ,各会場間の移動もなんとかスムーズにできるようになった.まず,全体を通しての印象を率直に述べると,5~6年前に比べ,演題の質は確実に向上していると感じた.特に,若い会員における大腸内視鏡検査,および治療の普及が,全体を底上げする形となって現れており頼もしく感じられた.一方,閉口させられたことは,発表時間を無視した演者が少なくないことである.どんなに内容が優秀であっても,制限時間という基本的ルールを守らなければ発表の価値は半減し,会場からの共感は得られないであろう.総合討論が設けられている場合はなおさらである.また,数値や表の羅列に終始する口演発表にも疑問が感じられる.聴衆に“So what?”とつぶやかれては,せっかくのリサーチが徒労に終わってしまう.参加者に自分の主張を理解してもらうのがプレゼンテーションだと思うのだが…….その意味では,シンポジウムのディスカッションにおける演者の発言の消極性にも物足りなさを感じた.以下,参加したセクションごとに印象を記してみたい.

 シンポジウム8「大腸sm癌深達度の細分類とその臨床的意義」:各施設問での細分類法が不統一な現状において,避けては通れない重要な課題と思う.筆者の記憶が正しければ,大きな学会のテーマとして取り上げられたのは,今回が初めてであり,興味深く拝聴した.主として以下の4点について討論されたと覚えている。①相対分類と絶対値分類,②絶対値分類における具体的浸潤距離(量),③リンパ節転移やly因子との関係,④術前画像診断②,③,④に関しては,既に報告されていることもあり,大きな違和感は覚えずに聞けた.しかし,①において,演者のほとんどが相対分類でいいと答えたのには正直言って驚いた.筆者にとっては,にわかに受け入れ難いものであった.隆起型における浸潤程度判定上の問題や,更には標本の作製方法による影響などについての指摘もあった.今回は臨床医のみの演者であったが,病理医を含めた今後の更なる検討・討論を望みたいものである.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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