早期胃癌研究会症例
0-Ⅱa様の形態を呈し著明なkoilocytosisを伴った食道dysplasiaに隣接して微小0-Ⅱcを認めた1例
著者:
曽根康博1
中野哲1
武田功1
熊田卓1
桐山勢生1
宮田章弘1
林和彦1
岩下寿秀2
安藤千秋2
鈴木雅雄3
下川邦泰4
出口富美子5
所属機関:
1大垣市民病院消化器科
2大垣市民病院臨床検査部病理
3聖隷三方原病院消化器科
4岐阜大学臨床検査医学
5朝日大学歯学部附属村上記念病院健診センター
ページ範囲:P.1050 - P.1054
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要旨 患者は51歳,男性.人間ドックで食道病変を指摘され来院.X線検査でIm下部に分葉状の平坦隆起を認めた.内視鏡検査で上切歯列から36cmに白色調の扁平隆起とその口側に接し微小発赤を認め,トルイジンブルー染色で隆起表面は亀甲様に染まり,ヨード染色で隆起は淡染,口側の発赤は不染を呈した.隆起部の生検診断はdysplasiaであった.内視鏡的粘膜切除術を施行.隆起は10×7mmで核周囲に空泡を伴う細胞が出現しkoilocytosisの所見を呈していた.同部はdysplasiaと診断しヒトパピローマウイルスとの関連を考えた.隆起の口側に隣接し2mmの陥凹があり内視鏡での微小発赤と一致した.同部は0-Ⅱc,扁平上皮癌,m1と診断した.