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今月の主題 胃炎―Sydney SystemとHelicobacter pylori 序説
胃炎―Sydney SystemとHelicobacter pylori
著者: 伊藤誠1
所属機関: 1名古屋市立大学医学部第1内科
ページ範囲:P.1071 - P.1072
文献購入ページに移動 1983年,オーストラリアのWarren1)が,慢性活動性胃炎を示す幽門腺領域に正体不明のらせん菌が棲息していることを報告した.当初,Cam-Pylobacter Pyloridis(のちにPylori2))と呼ばれたが,1989年,Helicobacter属と命名された3).右巻きのらせん菌体の一極に数本の鞭毛を持つグラム陰性桿菌で,束ねた鞭毛を時計方向へ回転させながら移動する様子がヘリコプターに似ていること,幽門腺領域すなわちピロルスの領域に多いことから,Helicobacter Pylori(H. Pylori)の名がある.
H. Pyloriがクローズアップされたのは,機序はいまだに不明であるが,除菌によって消化性潰瘍の再発が大幅に抑制されることがわかったからである.その一方で,この細菌が急性4),慢性胃炎5)を発症させることから,H. Pyloriを加味して胃炎分類を試みたのが,1990年に提唱されたSydney System6)である.この分類が関心を集める第1は,特に慢性胃炎の分類が永年にわたって混沌としていたことが背景にある.
H. Pyloriがクローズアップされたのは,機序はいまだに不明であるが,除菌によって消化性潰瘍の再発が大幅に抑制されることがわかったからである.その一方で,この細菌が急性4),慢性胃炎5)を発症させることから,H. Pyloriを加味して胃炎分類を試みたのが,1990年に提唱されたSydney System6)である.この分類が関心を集める第1は,特に慢性胃炎の分類が永年にわたって混沌としていたことが背景にある.
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