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文献詳細

雑誌文献

胃と腸33巻9号

1998年08月発行

文献概要

今月の主題 潰瘍性大腸炎―最近の話題 主題研究

潰瘍性大腸炎にみられる回腸終末部病変

著者: 多田正大1 藤田直子1 井形栄司1 草場元樹1 菅田信之2 清水誠治2

所属機関: 1京都がん協会消化器科 2京都第一赤十字病院消化器科

ページ範囲:P.1255 - P.1260

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要旨 潰瘍性大腸炎患者80例中26例(32.5%)の回腸終末部に,backwash ileitisとは明らかに異なる2~5mm程度の小さいアフタ様びらんが散在性に数個~十数個存在することが確認された.病理組織学的には好中球,リンパ球などの炎症性細胞浸潤が軽度ないし中等度みられたが,特異的な炎症像はなかった.回腸終末部病変の臨床的意義をみる目的で,性,年齢,罹患年数,臨床経過,病変範囲などの因子と発生頻度を対比したが,特に一定の傾向はみられず,初発時や緩解期にも,直腸炎型にも発生が確認された.25例中21例(84.0%)では4か月後にびらんは消失した.潰瘍性大腸炎であっても回腸終末部に高い頻度で炎症が存在する事実は興味深く,本症の病因や病態に対する従来の考え方を見直すべきであることを強調した.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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