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文献詳細

雑誌文献

胃と腸34巻1号

1999年01月発行

文献概要

今月の主題 Ⅱ型早期大腸癌肉眼分類の問題点 主題

早期大腸癌肉眼分類―私の診断基準

著者: 八尾隆史1

所属機関: 1九州大学医学部第2病理

ページ範囲:P.27 - P.27

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 肉眼型の判定は病理ではホルマリンで固定された切除材料において行っているが,正しく判定するにはそれが十分伸展された標本であることが重要である.しかし,日常の外科手術材料は特に長軸方向が伸展不良であることが多いので,それを補正するために輪状方向での形態を重視して判定すると内視鏡像やX線像とのずれが少ないように思われる.しかしながらそれでも不十分であるので,やはり十分伸展された腸管における内視鏡像を参考にする必要があると考える.

 次にその判定基準であるが,Ⅰs型とⅡa型の区別が問題になる.私は組織像で粘膜筋板からの高さが正常粘膜の2倍くらいまでの高さで,表面が平坦なものをⅡa型としているつもりである.正常粘膜の2倍の高さというのは組織と肉眼の対比に基づく目安であって,私は組織標本(割面)で測定し判定するのではなく肉眼で判断するので,高さに関しては必ずしも正確ではない.表面が平坦なものは球面状のものとは組織構築が異なり,また肉眼で厳密に高さを判断するのは不可能であるので,個人的には高さだけに固執せず表面の形態との総合的判定が最良と考える.陥凹の判断は臍状の窪みでなく面としての陥凹成分を認めるときのみⅡc型と判断する.もう1つの問題点は反応性隆起の判断のことである.規約では腫瘍成分のみならず反応性過形成成分なども含めて肉眼型を判定することになっているので,私もそれに従っている.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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