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文献詳細

雑誌文献

胃と腸34巻1号

1999年01月発行

早期胃癌研究会症例

上皮下発育を呈した0-Ⅲ型食道癌の1例

著者: 立山健一郎1 尾関豊1 今井直基1 角泰廣1 板東道哉1 鈴木雅雄2 鬼島宏3

所属機関: 1国立東静病院外科 2聖隷三方ケ原病院消化器科 3東海大学医学部病理診断部

ページ範囲:P.85 - P.89

文献概要

要旨 患者は69歳,男性.検診で胃潰瘍を指摘され,上部消化管内視鏡検査で中下部食道に縦走する不整な潰瘍性病変を指摘された.精密食道造影検査ではⅠmEi境界部に十字に交わる深い陥凹と周囲の隆起した長径2cmの0-Ⅲ型表在型食道癌を認め,深達度sm3と診断した.食道内視鏡検査では陥凹部を除いてヨード不染はなく,上皮下発育を示す特殊型の癌が示唆された.切除標本病理所見は,2.0×1.5cmの0-Ⅲ型,深達度sm3,中分化型扁平上皮癌,ie(-),ly1,v0,n2(+)であった.0-Ⅲ型食道表在癌はその発育過程として0-Ⅱc型から進展したものや,0-Ⅰ型に深い陥凹を形成したものなどが考えられる.本症例では,深い陥凹を有してはいるが,粘膜表層進展がなく,上皮下発育を示すことから,0-Ⅰsep型の食道癌からの発育,進展を念頭に置く必要があると考えられた.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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