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文献詳細

雑誌文献

胃と腸34巻1号

1999年01月発行

早期胃癌研究会症例

低悪性度胃MALTリンパ腫から高度の分化を示したいわゆる“胃形質細胞腫”の1例

著者: 海崎泰治1 細川治2 斎藤建3 中屋孝清2 道傳研司2 樋下徹哉2 津田昇志2 木谷栄一2 渡辺国重2 白崎信二2 林裕之2 小西二三男4

所属機関: 1福井県立病院病理 2福井県立病院外科 3自治医科大学病理 4福井赤十字病院病理

ページ範囲:P.91 - P.98

文献概要

要旨 患者は41歳,女性.職場検診で胃の異常を指摘され当院を受診.胃X線検査では体上部前壁と幽門前庭部小彎に不整な胃小区の領域が存在し,内視鏡検査では強い白色調を呈した病巣が体部前壁を中心に幽門前庭部まで島状に散在していた.内視鏡生検で赤色顆粒(Russell体)を多数有した形質細胞がみられ,またHelicobacter pyloriの感染が確認された.胃全摘術を行った切除標本の組織学的検索で,病巣部の粘膜内から粘膜下層にかけてRussell体を有する多数の形質細胞の増殖以外に,MALTリンパ腫に特徴的なlymphoepithelial lesionの存在やcentrocyte-like cellの増殖も認められた.本例は,胃形質細胞腫ではなく,高度の形質細胞分化を示した低悪性度胃MALTリンパ腫と診断された.リンパ腫の新たな分類が提起された現在では,胃形質細胞腫の診断は慎重さが要求され,また従来の症例は再検討されるべきであろう.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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