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文献詳細

雑誌文献

胃と腸34巻1号

1999年01月発行

文献概要

海外だより

アメリカ留学体験記(2)

著者: 斉藤裕輔1

所属機関: 1旭川医学大学第3内科

ページ範囲:P.105 - P.106

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 私は,1998年4月から1年間の予定で米国テキサス州にあるUniversity of Texas Medical Branch at Galveston(UTMB)に留学しております.今回はアメリカの内視鏡検査の現状について報告いたします.なお,内視鏡検査の内容はアメリカの州,施設により異なっていることをご了承ください.

 まず検査室ですが,広い検査室が7系統あり,各部屋に看護婦が1~2名付き,検査,治療を行っています.もちろん内視鏡はすべて日本製のビデオスコープです.1部屋にポータブルの透視装置があり,1室はERCP用のX線撮影装置が装備されております.患者さんはベッドごと入室し,検査後ベッドごと退室します.靴を履いたままベッドに横たわっている患者さんが多いのには驚きました.文化の違いですね.また,20床ほどの広いrecovery roomがあり,検査前の点滴,検査後の患者の容態のチェックが行われています.UTMBにおける内視鏡検査は,ASGE(American Society for Gastrointestinal Endoscopy;米国内視鏡学会)の勧告に従って全員ルート確保とconscious sedationのもとに行われています.前投薬としてmidazolamを2~10mg,meperidineを20~150mg静注後に行っています.上部消化管内視鏡検査ではmidazolamを2mg,meperidineは25mgぐらいと少量?でよいようですが,大腸内視鏡ですと倍以上に増えますし,ERCP時には更に増えることが多いようです.アメリカの患者さんは痛みに非常に敏感であり,ちょっとしたことで”“Ah―,Ah―”とつらがり麻酔薬の追加投与が必要となります.更に,前回にも書きましたが,ここテキサスの患者さんは大きいため,相当な量のsedationが必要なようです.日本人なら呼吸が完全に停止してしまうほどの量を投与するときもしばしばあります.多くの麻酔薬を投与しても,痛みや刺激などで一度目を覚ますと,薬を追加投与してももうろうとしているせいか,なかには暴れる患者さんもいます.ときには医師,看護婦数人で暴れる患者さんを必死に押さえることもあり,“like a battle with SUMOU wrestler”と検査医が笑っていたこともありました.ERCPのときに暴れて検査,治療が中止になり,翌日全身麻酔で再検査,治療が行われることも時々あります.また,あらかじめ患者さんが全身麻酔で検査を希望する場合もあり,このときには初めから麻酔科の先生も登場して内視鏡検査が行われます.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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