icon fsr

文献詳細

雑誌文献

胃と腸34巻1号

1999年01月発行

症例

十二指腸下行部に潰瘍病変を伴ったアミロイドーシスの1例

著者: 高木國夫1 岩切啓二1 松永仁1 白石正明2 竹腰隆男3 梅沢明弘4

所属機関: 1林外科病院 2白石内科胃腸科 3癌研究会附属病院内科 4慶應義塾大学医学部病理学教室

ページ範囲:P.107 - P.112

文献概要

要旨 患者は70歳の男性で,心窩部痛,タール便を主訴として入院.X線および内視鏡検査で十二指腸下行部の乳頭部近傍に出血性の陥凹性病変を認め,十二指腸癌を疑ったが,生検組織にアミロイド沈着を認めた.十二指腸出血が遷延し,X線および内視鏡検査で病変の伸展性があり,悪性リンパ腫も否定しえないため,膵頭十二指腸切除,胆囊摘除,小腸切除を行った.十二指腸下行部乳頭部の外側に2個の潰瘍,口側に線状瘢痕を認め,十二指腸全体に小血腫が散在性に多数認められた.切除小腸に3か所血腫を認めたが,胆囊,胃,膵に著変を見なかった.組織所見は十二指腸粘膜下層に広範なアミロイドの沈着と出血を認め,Ul-Ⅱの潰瘍と癩痕を伴っていた.高度のアミロイド沈着は十二指腸のみでなく,小腸の粘膜下層にも認めたが,胃,胆嚢,膵の血管壁にも認められた.アミロイド蛋白はAL型を示した.アミロイドーシスの上部消化管病変で,胃,小腸の切除報告はあるが,十二指腸病変の切除例は本例が初めてと思われる。膵頭十二指腸切除により,十二指腸のみでなく,他臓器にもアミロイド沈着があり,全身性アミロイドーシスと診断しえた.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

雑誌購入ページに移動
icon up

本サービスは医療関係者に向けた情報提供を目的としております。
一般の方に対する情報提供を目的としたものではない事をご了承ください。
また,本サービスのご利用にあたっては,利用規約およびプライバシーポリシーへの同意が必要です。

※本サービスを使わずにご契約中の電子商品をご利用したい場合はこちら