今月の主題 Crohn病の長期経過―10年以上の症例を中心に
主題症例
壊疽性膿皮症を契機に診断され長期経過観察されたCrohn病の1例
著者:
江崎幹宏1
松本主之2
中村昌太郎1
今山修平3
壬生隆一4
八尾隆史5
古賀秀樹6
飯田三雄6
藤島正敏1
所属機関:
1九州大学附属病院第2内科
2九州大学附属病院光学医療診療部
3九州大学附属病院皮膚科
4九州大学附属病院第1外科
5九州大学大学院医学系研究科形態機能病理学
6川崎医科大学消化器内科Ⅱ
ページ範囲:P.1319 - P.1323
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要旨 患者は36歳,女性.20歳時より,腹痛,下痢が出現.24歳時より下腿伸側に有痛性紅斑の出没を繰り返していた.32歳時,左下腿伸側の膿庖を混じる紅斑が急速に潰瘍を形成したため当院皮膚科を受診,壊疽性膿皮症と診断された.この時点の消化管X線・内視鏡検査で大腸型Crohn病と確診された.36歳時に両下腿に壊疽性膿皮症が再発し,その後S状結腸穿孔,大腸小腸瘻,大腸子宮瘻,更に小腸皮膚瘻のため計3回の手術を受け,現在小腸大腸型Crohn病として経過観察されている.壊疽性膿皮症を合併するCrohn病は症例数が少なく,腸管病変と皮膚病変の長期経過は不明であるが,自験例では大腸病変の重症度と皮膚病変の活動性が相関していた.