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文献詳細

雑誌文献

胃と腸34巻11号

1999年10月発行

今月の主題 胃MALTリンパ腫―Helicobacter pylori除菌後の経過

序説

胃MALTリンパ腫―Helicobacter pylori除菌後の経過

著者: 伊藤誠1

所属機関: 1名古屋市立大学医学部第1内科

ページ範囲:P.1343 - P.1344

文献概要

 本誌では胃MALTリンパ腫とHelicobacter Pylori(H.pylori)の関連を,第31巻8号(1996年)で「Helicobacter pyloriと胃リンパ腫」と題して取り上げた.しかし,当時は全国的にいずれの施設も自験例が少ないうえ除菌後の観察もごく短かく,両者の関連を問うには自ずから限界があった.それから3年が経ち,より長い経過観察例が蓄積されているものと考え,本号を企画した.

 H.pylori陽性のMALTリンパ腫の治療に除菌が有効かどうかは国際的にも依然として定まっていない.オランダのマーストリヒトで行なわれた1996年のEuropean Helicobacter pylori Study Groupのconsensus reportと1997年のアメリカのDigestive Health Initiative Internationa1 Update Conferenceでは除菌の有用性を支持しているが,1997年のAsian Pacific Consensus Conferenceではむしろ否定的である.一方,わが国では胃MALTリンパ腫に対するH. Pylori除菌を有効と見なす風潮がややもすれば強く,除菌が有用であったとする症例報告も増えている.しかし,日本消化器病学会のHelicobacter pylori治験検討委員会では除菌の有用性をみるための臨床試験の必要性を指摘している(1999年)段階である.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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