icon fsr

文献詳細

雑誌文献

胃と腸34巻11号

1999年10月発行

文献概要

今月の主題 胃MALTリンパ腫―Helicobacter pylori除菌後の経過 主題

胃MALTリンパ腫におけるHelicobacter pylori除菌治療の効果とその後の経過

著者: 加藤俊幸1 小越和栄1 秋山修宏1 船越和博1 小堺郁夫1 菅野聡1 斎藤征史1 太田玉紀2 山下浩子3 渡辺英伸3

所属機関: 1県立がんセンター新潟病院内科 2県立がんセンター新潟病院病理検査科 3新潟大学医学部第1病理

ページ範囲:P.1345 - P.1352

文献購入ページに移動
要旨 H. pylori陽性の低悪性度MALTリンパ腫においてH. pylori除菌治療後に腫瘍が消失する完全寛解率は84.2%と高く,内視鏡像やIgH再構成の有無による差はなく,有効である.除菌成功後は病変の平坦化と褪色がみられ,寛解後は褪色した萎縮粘膜や瘢痕像のまま再発なく経過し,更に正常粘膜に回復するには数年を要する.除菌後4か月以降も少量の腫瘍細胞が残存する縮小例では組織学的寛解が遅く,更にIgHの再構成の改善は遷延するため次の治療に移る判断が難しいが,内視鏡像が改善すれば急ぐ必要はなく,2年後に消失した例もある.縮小例では,生検偽陰性となる可能性が高いため注意が必要である.なお,完全寛解16例では最長54か月まで再発せず予後は良好であるが,2例に早期胃癌を認めたので,重複癌にも注意が必要である.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

雑誌購入ページに移動
icon up
あなたは医療従事者ですか?