今月の主題 胃MALTリンパ腫―Helicobacter pylori除菌後の経過
主題
胃MALTリンパ腫のHelicobacter pylori除菌後の経過―内視鏡像・病理組織像と治療後の変化
著者:
鈴木達彦1
加藤勝章1
一迫玲2
大楽尚弘1
久保田祐司1
相田重光1
今野豊1
及川圭介1
野口謙治1
小池智幸1
今谷晃1
杉山幸一1
関根仁1
大原秀一1
下瀬川徹1
豊田隆謙1
所属機関:
1東北大学医学部第3内科
2東北大学歯学部口腔病理
ページ範囲:P.1367 - P.1379
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要旨 胃MALTリンパ腫に対してHelicobacter pylori(Hp)除菌療法が積極的に施行されている.本稿では,当科で経験した胃MALTリンパ腫の内視鏡像と病理組織像,治療後の変化について検討した.びらん性変化を種々の程度に伴う限局性,またはびまん性の発赤局面を呈する症例は,Hp除菌療法が奏効する症例が多く,リンパ腫細胞が消失した後の粘膜は,固有胃腺が消失し,粘膜内の線維化,浮腫による間質の増大を認め,内視鏡的には褪色粘膜面となった.一方,当初より褪色局面を呈する症例はHp陰性症例,他臓器に併存病変を有する症例などで認められた.これら症例間の臨床像や生物学的態度の違いについて更なる検討が望まれる.