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文献詳細

雑誌文献

胃と腸34巻11号

1999年10月発行

今月の主題 胃MALTリンパ腫―Helicobacter pylori除菌後の経過

主題

胃MALTリンパ腫に対するHelicobacter pylori除菌治療後の経過―内視鏡・EUS像からみた治療効果の予測

著者: 末兼浩史1 飯田三雄1 中村昌太郎2 松本主之2 黒木文敏1 水野充1 古賀秀樹1 武田昌治1 井上滋夫1 松本啓志1 西本好徳1 檜沢一興2 蔵原晃一2 青見仁2 城由紀彦2 三上芳喜3 八尾隆史4

所属機関: 1川崎医科大学消化器内科Ⅱ 2九州大学医学部第2内科 3川崎医科大学病理 4九州大学医学部病理

ページ範囲:P.1397 - P.1409

文献概要

要旨 Helicobacter pylori(H. pylori)除菌後1年以上経過観察できた胃MALTリンパ腫22例を超音波内視鏡(EUS)像により表層型,肥厚型,腫瘤型,混合型に分類し,除菌後の経過を検討した.除菌後の完全寛解(CR)群は15例(68%),不変・増悪(NR)群が6例(27%)であった.1例(5%)は部分寛解(PR)群で経過,1年後にH. pylori再感染・腫瘍再燃を確認し,再除菌を行った.CR群は表層型12例,腫瘤型3例で,除菌後1~15か月,平均4.7か月でCRとなった.再燃例はなかったが,2例で8,12か月後に組織学的再燃が疑われ,別の1例で52か月後にH. pylori再感染を認めた.NR群は肥厚型3例,腫瘤型2例,混合型1例で,全例sm深部以深への浸潤を認めた.腫瘤型2例と混合型1例には経口アルキル化剤単剤療法が有効であった.CR群とNR群の除菌前の所見を比較すると,high-grade成分の有無や臨床病期に差はなく,H. pylori菌量とEUSによる病型(表層型か否か)で有意差を認めた.以上より,胃MALTリンパ腫に対する除菌の効果はEUSを含めた病型評価で予測可能であり,無効例に対しても経口化学療法などの胃温存治療の効果が期待できると結論した.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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