今月の主題 胃MALTリンパ腫―Helicobacter pylori除菌後の経過
主題症例
Helicobacter pylori除菌で一旦消失したlow-grade MALTリンパ腫が3年後にhigh-grade MALTリンパ腫として再発した1例
著者:
山口孝太郎1
渡辺英伸2
山下浩子2
家里裕3
中村忠夫4
所属機関:
1山口医院
2新潟大学医学部第1病理
3小千谷綜合病院外科
4中村医院
ページ範囲:P.1429 - P.1435
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要旨 Helicobacter pylori(以下Hp)の初回除菌療法で一旦消失したlow-grade MALTリンパ腫が,その3年後にhigh-grade MALTリンパ腫として再発した1例である.本例は,初回除菌療法前には.一部にhigh-grade MALTリンパ腫を疑わせる肉眼所見を認めたものの,組織学的にはlow-grade MALTリンパ腫の所見のみが得られていた.再発時には以下の点が注目された.すなわち,①再発時の小びらん所見で,良性びらんとは異なるぎざぎざした不整形で,一部枝分かれした肉眼所見が認められた.②再除菌施行でHpが陰性化したが,その後に急速にリンパ腫の増悪が認められた.手術材料の病理診断は,所属リンパ節への転移を認めるhigh-grade MALTリンパ腫(B細胞性.一部でT・B両形質発現を示す.)であった.