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文献詳細

雑誌文献

胃と腸34巻12号

1999年11月発行

今月の主題 胃癌診断における生検の現状と問題点

主題

胃癌診断における内視鏡下生検の現状

著者: 阿部慎哉1 長南明道2 増田高行3 野口哲也1 島田剛延1 渋谷大助1

所属機関: 1宮城県対がん協会がん検診センター 2JR仙台病院消化器内視鏡センター 3東北大学医療技術短期大学

ページ範囲:P.1477 - P.1484

文献概要

要旨 内視鏡診断および生検診断の現状を明らかにし,内視鏡による胃癌の診断過程における問題点を検討した.生検が施行された症例は内視鏡検査総数の32.8%であった.内視鏡診断の感度は84.66%,特異度は99.10%,陽性反応的中度は65.33%となり,内視鏡診断の偽陰性率は15.34%であった.GroupⅠ~Ⅲを胃癌に対する生検診断の陰性,GroupⅣ,Ⅴを陽性とすると,生検診断の感度は96.16%,特異度は99.98%,陽性反応的中度は99.72%となり,生検診断の偽陰性率は3.84%であった.内視鏡診断と生検診断が不一致となる大きな原因は,内視鏡診断の精度が低いためと考えられた.内視鏡診断偽陰性の原因として,内視鏡診断能の不足が58.9%を占めた.診断困難例においては,活動期潰瘍の合併,微小胃癌を含む小さな胃癌などが重要であった.内視鏡診断偽陽性の原因としては,活動期および再発性潰瘍が重要であった.生検偽陰性の原因は,病理診断に起因するもの,病変の特性に起因するもの,内視鏡診断に起因するものの3つに分けられ,それぞれ非常に分化度の高い胃癌,スキルス,そして微小癌を含めた小さな胃癌が重要であった.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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