icon fsr

文献詳細

雑誌文献

胃と腸34巻12号

1999年11月発行

今月の主題 胃癌診断における生検の現状と問題点

主題

内視鏡的に良性と診断され生検で確診された早期胃癌の特徴―-特に慢性胃炎と鑑別困難な早期胃癌について

著者: 後藤田卓志1 下田忠和2 藤城光弘1 小田一郎1 粉川敦史1 斉藤豊1 乾哲也1 岡林雄大1 谷内田真一1 神津隆弘1 藤井隆広1 山口肇1 斉藤大三1 小野裕之1 近藤仁1 吉田茂昭3

所属機関: 1国立がんセンター中央病院消化器内視鏡部 2国立がんセンター中央病院臨床検企部病理 3国立がんセンター東病院内科

ページ範囲:P.1495 - P.1503

文献概要

要旨 国立がんセンター中央病院にて,1997年7月より1999年6月までの2年間に,胃病変からの生検はのべ10,703か所施行された.内視鏡診断では良性と診断された8,572病変のうち,生検にて癌と診断された病変は127病変(1.5%)で,検討期間中の全胃癌の11%,全早期胃癌の19%にも上っていた.更に,127病変中75病変(59%)が,胃炎性変化とのみ診断されていた病変であった.これらの病変は内視鏡的に,平担褪色型,平担発赤型,凹凸主体型の3つに大別された.平担褪色型は病変の境界が明瞭なものが多く,比較的年齢が若く,かつ女性に多く認められ,未分化型腺癌が多かった(85%).平担発赤型は,病変の境界が明瞭なもの(0.5%)に比べ,不明瞭なもので癌の頻度が高かった(2.8%).また,平担発赤型および凹凸主体型は平担褪色型に比べ平均年齢が高く,男性優位であった.占居部位は,平坦褪色型および平担発赤型がいずれの部位にも認められたのに対して,凹凸主体型は9割が胃角から前庭部に分布していた.更に,内視鏡フィルムの見直し診断にても“癌”としての認識が困難であったものは凹凸主体型,平川発赤型,平川褪色型の順で多く(66%,48%,30%),これらの病変のうち7割が,病変の辺縁で非癌腺管への置換型の発育を示す低異型度の癌であった.今後,褪色や発赤のみならず,わずかな胃粘膜の凹凸にも注意を払った内視鏡検査が求められ,更に非常に分化した低異型度癌の認識が必要になってくると考えられる.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

雑誌購入ページに移動
icon up

本サービスは医療関係者に向けた情報提供を目的としております。
一般の方に対する情報提供を目的としたものではない事をご了承ください。
また,本サービスのご利用にあたっては,利用規約およびプライバシーポリシーへの同意が必要です。

※本サービスを使わずにご契約中の電子商品をご利用したい場合はこちら