今月の主題 胃癌診断における生検の現状と問題点
主題
胃生検でGroup Ⅴと診断された症例の臨床的対応―陥凹型病変を中心に
著者:
川口実1
工藤拓1
坂井康明1
梅沢裕信1
三治哲哉1
半田豊1
森田重文1
大野博之1
鶴井光治1
三坂亮一1
斉藤利彦1
大谷方子2
豊田充康2
清水亨2
芹澤博美2
海老原善郎2
廣田映五3
所属機関:
1東京医科大学第4内科
2東京医科大学病院病理部
3エスアールエル細胞病理研究所
ページ範囲:P.1521 - P.1529
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要旨 胃生検組織診断は,多くの場合決定的な最終診断となる.その結果,逆に本来の内視鏡検査の意義が軽視されている感じを受ける.最近5年間に当院でGroup Ⅴと診断された717例のうち,陥凹型病変について,その臨床的対応の問題点について述べた.その要点は次の4点である.①717例中1例は“ひとかき癌”(=生検で癌が消失した病変)の可能性があるが,厳重に経過観察中である.②717例中6例(0.8%)は組織型診断に問題があった.特に,悪性リンパ腫が低分化腺癌と診断されたものが2例あった.③癌の悪性度診断も行われつつある.④日本の一般病理医間に診断能力の差がある.最も重要なことは,臨床と病理の良好な関係を築くことである.