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文献詳細

雑誌文献

胃と腸34巻13号

1999年12月発行

今月の主題 大腸腫瘍の内視鏡診断は病理診断にどこまで近づくか

主題

大腸腫瘍のミクロとマクロの対比における新しい知見―pit patternのフラクタル解析と組織所見との対比

著者: 味岡洋一1 林俊壱2 渡辺英伸1 本間照3 西倉健1 橋立英樹1

所属機関: 1新潟大学医学部第1病理 2新潟臨港総合病院消化器内科1 3新潟大学医学部第3内科

ページ範囲:P.1599 - P.1606

文献概要

要旨 大腸粘膜内上皮性腫瘍55病変(腺腫37例,低異型度癌7例,高異型度癌11例)を対象に,病変のpit patternとそれに対応する組織腺管構造のフラクタル解析を行い,両者のフラクタル次元の相関について定量的検討を行った.円形,類円形,管状,樹枝状の4型に分類されたpit patternのフラクタル次元は1.06,1.27,1.39,1.57であり,より複雑なパターンほど高いフラクタル次元が得られ,それぞれの間で有意差を認めた.pit patternと対応する組織腺管構造のフラクタル次元には有意な相関関係があり,pit patternは病理組織診断における構造異型を反映していることが定量的にも示された.腺腫と低異型度癌との間には,pit pattern,組織腺管構造ともにフラクタル次元に有意差がみられた.低異型度癌と高異型度癌との比較では,組織腺管構造のフラクタル次元が両者で近似していた(1.49 vs. 1.51,p=0.72)のに対し,pit patternのフラクタル次元は高異型度癌で高い値を示す傾向があり(1.55 vs. 1.61,p=0.15),pit patternは構造異型のほかに細胞異型も反映している可能性が示唆された.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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