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文献詳細

雑誌文献

胃と腸34巻13号

1999年12月発行

今月の主題 大腸腫瘍の内視鏡診断は病理診断にどこまで近づくか

主題

大腸腫瘍性病変における実体顕微鏡によるpit pattern診断と病理組織診断の比較―特にⅤ型pit patternにおける深達度診断の不一致の原因について

著者: 田中仁1 岩下明徳1

所属機関: 1福岡大学筑紫病院病理部

ページ範囲:P.1607 - P.1612

文献概要

要旨 大腸腫瘍性病変のうち,腺腫および早期癌236病変を用い,実体顕微鏡によるpit pattern診断と病理組織診断の関係,特にⅤ型pit patternにおける深達度診断の不一致の原因を中心に検討した.その原因は腫瘍側のものと人為的もしくは診断者側のものとに大別された.前者には,粘膜固有層への癌の破壊性浸潤,粘膜内と粘膜下層での癌の構造異型の差異,細胞異型が優位のため癌と診断されるなどが含まれ,後者には,生検痕,内視鏡摘除時の熱変性,自己融解,診断時にpit patternを正しく判定できないなどがあった.以上からpit pattern診断,特に人為的影響を受けやすい実体顕微鏡によるそれに際しては,本診断は腫瘍表面のpit patternの乱れや破壊像を見るのみで,必ずしも病理組織診断を反映しているとは限らないとの従来の認識に加え,上記のような原因の存在を考慮しつつ慎重な態度でのぞむべきと考える.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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