今月の主題 大腸腫瘍の内視鏡診断は病理診断にどこまで近づくか
主題
電子内視鏡による大腸腫瘍表面微細構造の観察―拡大観察と通常観察の比較検討
著者:
田中信治1
春間賢2
弘田祐一2
永田信二1
大江啓常2
伊藤雅啓2
古土井明2
岡志郎2
高橋亮吏2
清水俊彦2
國弘真己2
北台靖彦1
吉原正治2
隅井浩治2
梶山梧朗2
嶋本文雄3
所属機関:
1広島大学医学部光学医療診療部
2広島大学医学部第1内科
3広島大学医学部病理部
ページ範囲:P.1635 - P.1644
文献購入ページに移動
要旨 大腸腺腫および早期癌を対象に,通常電子内視鏡による表面微細構造の観察能について検討した結果,インジゴカルミン液撒布を用いた通常電子内視鏡によるpit pattern診断と実体顕微鏡所見の一致率は,Ⅱ型92%,ⅢL型82%,ⅢS型0%,Ⅳ型94%,ⅤA型17%,ⅤN型64%であり,ⅢS型,ⅤA型の診断能は極めて低く,ⅤN型においても36%が通常電子内視鏡観察では診断ができなかった.以上,比較的大きなpit pattern(Ⅱ型,ⅢL型,Ⅳ型)は通常電子内視鏡による詳細な観察により診断可能であるが,ⅢS型pit pattern,ⅤA型pit patternの診断,そして,一部のⅤN型pit patternの診断には拡大観察が必要であると考えられた.また,通常電子内視鏡観察と拡大観察の内視鏡診断における臨床的意義・位置付けについても考察を加え,両者は同一線上に連続的に位置する有用な診断手技であると結論した.