icon fsr

文献詳細

雑誌文献

胃と腸34巻13号

1999年12月発行

文献概要

今月の主題 大腸腫瘍の内視鏡診断は病理診断にどこまで近づくか 主題

大腸拡大内視鏡診断はどこまで病理診断に近づいたか―pit pattern診断と病理組織診断

著者: 今井靖1 工藤進英1 松田知己1 中原貴子1 為我井芳郎1 山野泰穂1 日下尚志1 粕谷孝光1 木暮悦子1 孟尼麗1 成澤亜古1 富松英人1 西岡千晴1 森田圭紀1 原栄志1

所属機関: 1秋田赤十字病院胃腸センター

ページ範囲:P.1645 - P.1652

文献購入ページに移動
要旨 pit patternを7型に分類し病理組織と対比検討した結果,Ⅲ~Ⅴ型pit patternを確認することで上皮性腫瘍性病変の診断は高率に可能であり,その組織異型度の推定もamorphismの認められないものは低・中等度異型腺腫,amorphismのあるもの(ⅤA型)では高度異型腺腫~粘膜下軽度浸潤癌,また無構造化の認められるもの(ⅤN型)では粘膜下高度浸潤以深の癌とおおむね推定できると考えられた.組織標本上の計測とpit patternとの対比検討により以下のことが考えられた.組織異型度が上がるにつれて腺口径,間質径の分散が高くなる,すなわちpitの大小不同,配列の乱れが著しくなることがこれらを反映していると考えられた.粘膜下軽度浸潤癌では腺管の密在化を認めるものが多く,あたかも無構造化したように見えるためⅤN型pit patternと判定されるものがあり,これらを鑑別することが今後の課題と思われた.粘膜下高度浸潤以深の癌では間質が露出し,間質量の増加によって腺管の間の距離,開口部の径が増大した.この傾向は深部浸潤の程度と相関した.これをpit patternに置き換えて考えると粘膜下浸潤の程度が上がるにつれてpit様構造の間隔が長くまばらに見えるようになり,そしてpit様構造の大きさは粗大になってくると考えられた.ⅤN型pit patternの判定は広い範囲での完全な無構造とするのではなく,ある部分での無構造化すなわちpit様構造の間隔が拡がり疎になっていく状態とすることが妥当であろうと考えられた.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

雑誌購入ページに移動
icon up
あなたは医療従事者ですか?